ホスピス精神を活かして
| 泉北教会 川辺 宣子 人間は「生老病死」という人生を歩みます。生を与えられ、よりよく生きることが私たちの使命と言えましょう。その為に先ず「死」を考えることが大切かと思います。遅かれ早かれ私たち１００パーセント死を迎えます。日々よく生きることが良い死につながることだと思います。 そのような考えのなかで私たち泉北ホスピスを進める会“ウイル”は17年前に発足しました。「終末期医療にホスピスケアを」というコンセプトで尊厳死、ホスピスケア(傾聴)、高齢者問題などを取り上げてのセミナー、ホスピス・老人施設でのボランティア実践、ホスピスケアの場(がん患者のつどい)そしてシニアがいきいきと送れるよう趣味のサロンを提供しています。 死期が迫っているとき無意味な延命治療はしてほしくないという思いのある人には意思表明のカードを発行、現在300名程の方が携帯しておられます。治療の自己決定という意味では重要な問題ですが、その時にならないと選択・決定は難しいと思います。しかし自分の思いを家族・医療者に伝えておくことは大切でしょう。常にこのような問題意識を持つことを進めています。このことが、がん末期の過ごし方に引き継いでいきます。 ホスピスはがん末期(余命6カ月以内)の方が入院されます。延命治療はしないで、緩和ケアをすることを中心に、家族のケアそしてスピリチュアルケア（霊的ケア）をすることが急性期病院と異なるところです。ウイルのメンバーの十数人がホスピスでボランティアをしています。末期がんの方とその家族さんに寄り添うことが仕事です。患者さんが自分らしく「生きていてよかった」と思って頂くことが狙いですが、現在平均入院日数がおよそ2週間という短さなので、なかなか患者さんとのコンタクトが深くとれません。しかしながら心を割って過去を振り返る方、また冗談をとばす方そして看護する配偶者と濃密に過ごしている方とお茶をサービスしながら交わったりもします。また介護の家族さんの愚痴を聴き励ましたりもします。そんな静かな雰囲気の中で人生の最期を迎えられることはしあわせかと思います。「ホスピスに入って良かった！」としばしば耳にします。 この良い環境の中で出来るだけ長く過ごして自分の思いを果たすことができれば最高によき人生となるのです。過去10年間そんな思いをされた方もいく人かいらっしゃいましたが、現在の平均入院日数から測りますと末期ぎりぎりにホスピスへ入院される方が多いことが分かります。ホスピスの病床が少ないせいかもしれませんが、患者さん本人が望まれないという事や、医療者がぎりぎりまで治療を受けさせているという現状があります。 与えられたいのちを自分らしく全うするためにもホスピスの様な病院や、24時間態勢の在宅のホスピス医院が増えることを願いながら、がん患者さんだけでなく高齢者にも視点をおいてホスピスケアのある町をめざしています。教会はもとより外でもホスピス精神を活かしていくことがイエスさまのみこころと思い実践しています。 |